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We will be together forever 第十九話

会場の照明が消えて寿音が作成したパーカッションの打ち込みが流れ始める
同時にステージの照明が点滅し始め、演奏が始まると同時にステージの幕が落ちる
会場中に響き渡る大歓声
有咲(遂に始まったな。
何だ、ツインボーカル?)
りみ(洋さんの演奏すごい……。
あんなに速くダウンピッキングしてる。)
たえ(光の左手の動き、とても鮮やかだなぁ。)
沙綾(寿音のドラム捌きは神がかってるね。
リズムキープが完璧だから、みんな安心して演奏に専念できるのは大きいな。)
香澄(かっこいい!
キラキラドキドキだよ!)

麻弥(すごいです!
皆さん動きに全く無駄がない。
今田さんのドラムは力強くもしなやかで、洋さんのベースは自己主張と調和のバランスが桁違いに優れています。)
彩(希良ちゃん、とてもきれいで力強い歌声だなぁ。
アレックスも全然喉に負担をかけずに歌えているよ。)
日菜(光ちゃんのギター、るんっ♪てくるね。
帰ったら練習しよう!)
千聖(MVからレベルの高さは分かっていたけど、まさかここまでだなんて……。)
イヴ(どうしたんでしょうか、演奏がベースだけになりました。)

間奏に入って洋のベースソロが始まる
瑠唯(2弦の5フレットを押弦して高速でダウンピッキングしているだけ。
でも、これ程印象に残るベースラインは初めてね。)
透子(マジヤバくない!?
めっちゃかっこいいし。)
七深(ベースソロから寿音先輩のドラムが始まって、鮮烈なリズムを生み出しているよ。)
つくし(光先輩のギターソロが始まった。
しっかり自己主張しながら、洋さんのベースと完璧に調和している。)
ましろ(希良さん、こんなにすごいバンドを作ったんだ……。
優秀な生徒が集まる月ノ森でも、ここまでの人は見た事がない……。)

???(かっこいい!
光さんのギター、洋さんのベース、寿音さんのドラム、希良さんとアレックスのボーカル、全てが今まで私が聞いた音楽の中で最も輝いている。)

1曲目終了
観客席から割れんばかりの歓声が上がる

3曲目終了
大歓声の中、メンバー一旦退場
ステージ裏の廊下
寿音「ここまでは順調だな。」
アレックス「そうね、練習を積み重ねた以上のパフォーマンスを発揮できたと思う。」
光「でも、緊張していて震えが止まらないよ。」
洋「光ちゃん、ちょっと手を貸して。」

洋が光の右手を優しく握る
希良「私も!」

希良も光の右手を握る
寿音「あたし達もやるか!」

寿音とアレックスが光の左手を握る
寿音「もうお前は一人じゃない!」
アレックス「一人はみんなのために。」
洋「みんなは一人のために。
昔、こう言ってみんなで支え合っていたドラマがあったわね。」
希良「ヒカルン、大丈夫だよ!」
光「みんな……ありがとう……(涙ぐむ)。」
アレックス「ほら、泣かない泣かない!」
寿音「お客さんが待ってるぞ!」

再びステージに向かう5人
ステージに戻った5人を大歓声が包む
希良が口を開く
希良「皆さん、初めまして!
私達」
希良・光・寿音・アレックス・洋「Shining Jewelsです!!!」

再び沸き起こる大歓声
希良「私がバンドを結成したリーダーの高島希良でーす♪」
光「常盤光です。」
寿音「今田寿音だ!」
こころ「寿音、いい笑顔してるわよ!」

こころを見て軽くうなずく寿音
アレックス「アレックス大島です。」
洋「サブリーダーの浅野洋よ(左目をウインクさせる)♡」
希良「遂にこの日が来たよね!」
寿音「ああ、念願のデビューライブだからな。」
アレックス「これまで、ずっと練習したり曲作りしてきたけど全てはこの日のために準備してきたからね。」
洋「チケット完売はさすがに驚いたわね。」
寿音「洋姉がいるからだろ!
あたし達4人は無名なんだからさ。」
洋「それは違うわね。
皆さんは私達全員に会いに来た。
(観客席を見て)そうよね!」
観客達「希良ちゃん!」
「光!」
「寿音ちゃん!」
「アレックス!」
「洋!」
洋「ありがとう!
まだまだライブは続くから、みんな全力でついてきてよ!」

大歓声
寿音「次の曲は布袋寅泰さんの名曲『8ビートのシルエット』。
光のギターボーカルに注目だ!」

大歓声
光「それでは聞いて下さい。
『8ビートのシルエット』。」
???(光さん、頑張って!)

寿音からムスタングを受け取る光
光の演奏から始まるイントロ
鳴り響く大歓声
透子(マジヤバくない?
かっこよすぎて震えるんだけど。)
七深(光先輩のレベルの高さは生まれ持ったものだね。)
ましろ(メンバーの皆さんは希良さんの志に賛同したからバンドに加入したんだよね。
私、もっと希良さんの事を知りたい!)

演奏終了
大歓声と拍手
光(やった!
みんなのおかげで全然緊張しなかった。)
寿音「(マイクから離れて)さすがだよ!
あたしのムスタング使ったの初めてなのに難なく弾けるって、やっぱりお前は天才だな。」
光「違うよ。
このギターが演奏しやすかっただけ。」
寿音「ムスタングは演奏するのが結構難しいんだぞ!
お前、どれだけすごいんだ!」
アレックス「何やってるの、次の曲の準備をするよ!」
寿音「おっと、そうだった。」

全ての演奏が終了
ステージ裏の通路で待機しているメンバー
希良「アンコールのリクエストが無ければ、ライブは終了だね。」
寿音「そうだな。
ただ、リクエストしてもらえる可能性があるから気は抜けないぞ。」
光「やり切ったんだね、私達……。」
アレックス「そうね、最高のスタートになったよ。」
洋「まだまだこれからよ!
Zeppライブもあるからね。」

会場から割れんばかりのアンコールのリクエスト
希良「じゃ、行こう!」

再びステージに現れたメンバー
大歓声が鳴り響く
希良「今日は本当にありがとうございました!
皆さんのおかげで、最高のデビューライブになりました。」
洋「練習の成果をちゃんと出し切れたわね。」
光「はい!
メンバーのみんなから学ぶ事ができたからです。」
寿音「お前の才能も相当なものだぞ。
そうだよな、みんな!」
観客達「ひ・か・る!
ひ・か・る!
ひ・か・る!
ひ・か・る!」
光「は、恥ずかしいよ……。」
アレックス「私も側にいたけど、光って本当にすごいよ。」
洋「本当ね、光ちゃんからはずいぶん刺激を受けたわ。」
希良「ヒカルンをメンバー第一号に選んだ私、さすが!」
寿音「調子に乗るな!」
光「希良の言う通りだよ。
希良、ありがとう……。」
希良「ヒカルン……。」
洋「ほら、演奏始めましょう。」
希良「そうだった。
これから、アンコール限定の曲を演奏します。
それでは聞いて下さい。
『Shining Jewels Theme』。」

演奏が始まる
有咲(何だ?
演奏に合わせてラップが始まったぞ!)
香澄(自己紹介ソングだね。
面白い!)
千聖(リズムを取りながらラップするだけでも難しいのに、演奏しながら軽々とこなすなんて……。)
日菜(またるんっ♪てきた!)
こころ(みんないい笑顔だわ。)
りみ(こんなにすごいバンドを結成する希良ちゃんって本当にすごい。)

演奏終了
拍手と歓声の嵐
アンコールの大合唱
希良「ごめんなさい。
今日は1曲しかアンコールできないんだ。」
観客達「えーっ!」
寿音「ごめんな、まさかこんなにアンコールしてもらえるとは思ってなくて。
この次はもっと曲を用意するから、また来てくれよな。」
観客1「絶対に来ます!」
観客2「楽しみにしてます。」
観客達「Shining・Shining・Shining・Shining!」
希良「みんな、ありがとう!
また来てね!」

鳴り響く大歓声

ステージを後にするメンバー
スタッフ「本日のライブは以上になります。
皆様、またのお越しをお待ちしております。」

控室
寿音「やったぜ!!!」
アレックス「上々のデビューライブだったね。」
洋「楽しかったぁ♡」
光「充実感でいっぱいです。」
希良「みんな、お疲れ様!
さあ、今日こそ焼き肉焼き肉♡」
寿音「他に言う事ないのか!」
洋「焼き肉の前にやる事があるわよ。」
光「何ですか?」
洋「マスコミの取材に応じなきゃ。」
アレックス「どうして?
私達はデビューしたばかりのガールズバンドだけど。」
洋「結成発表の動画を公開してから、マスコミからも注目されているわよ。
今日ここに来る時にも顔見知りの記者の人達を見かけたから。」
寿音「やっぱり洋姉がいるからだろ!
そうじゃなきゃ、マスコミが注目するわけないからな。」
洋「そうではないわね。
ほら、これ見て!」

スポーツ新聞を寿音に渡す洋
寿音「何だ?
『ガールズバンドに超新星登場!』ってこれあたし達じゃないか!」
アレックス「動画が公開された翌日のタブロイドね。
私達ここまで注目されていたの!?」
光「洋さんの事だけじゃなくて、私達の事もかなり詳しく書かれていますね。」
希良「すごいね!
私達のために1ページまるまる使っているよ。」
洋「デビューライブに集中するためにあえてみんなに見せなかったけど、実は取材依頼が殺到していたのよ。
でも、デビューライブ終了まで待ってほしいってお願いしていたから、終わった今となっては応じる必要があるわ。」
希良「じゃ、急いで行こう!
打ち上げが遅くなったら大変だから。」
寿音「よし、行こうぜ!」

観客が帰ってマスコミが集まったステージへと向かう5人

高田馬場スカーレット入り口周辺
観客A「光ちゃんかっこよかったぁ!
希良ちゃんもかわいかった。」
観客B「カバーしていた楽曲も知らないのが多かったけど、いい曲だったね。」
観客C「オリジナルの曲もすごかったね。」
観客D「これから毎回ライブに行くよ!」

有咲「残念だったな……。
控室周辺は立ち入り禁止だったし。」
沙綾「明日寿音に話を聞けると思うから、その時に色々聞いてみよう!」
りみ「そうだね。」
有咲「明日は浅野さんと打ち合わせがあるから、その時にも色々聞けるかもな。」
香澄「お昼休みに一緒に食事に誘ってみようよ!」
たえ「それいいね。」
有咲「今田さんがOKしてくれたら、そうするか。」
香澄「決まりだね!」

透子「マジ残念!
控室に行けると思ったのに。」
瑠唯「仕方ないわ。
浅野さんがメンバーである以上、ライブハウスの対応は適切ね。」
七深「明日、希良先輩に話を聞いてみるのがいいんじゃない。」
つくし「お昼を一緒に食べるっていいと思うよ。」
瑠唯「そうね、それがいいわ。」
ましろ「希良さんとお話ができるんだね。
明日が待ち遠しいよ。」
透子「シロは希良先輩をずっとみていたからな。」
ましろ「だって、あんなにかっこいい先輩が月ノ森にいるから……。
希良さんと仲良くなりたいよ。」
瑠唯「明日、私から高島さんにお願いしてみるわ。」
ましろ「瑠唯さん、お願いします。」

彩「洋さんがいるから仕方ないよね。
でも、洋さんに会いたかったなぁ。」
麻弥「明日、常盤さんに会いに行きます。
花園さんにお願いしてレイヤさんに協力してもらえるように伝えてもらいます。」

スマホを取り出してたえにメッセージを送信する麻弥
日菜「どうだった?」
麻弥「OKです。
レイヤさんに伝えておくと返事がきました。」
日菜「じゃあ、私も行く!」
千聖「日菜ちゃん、突然複数人で押しかけたら光ちゃんだって困惑するわよ。
麻弥ちゃんに任せましょう。」
日菜「えーっ……。」
イヴ「私は明日、羽沢珈琲店でバイトがあるので千聖さんと一緒に洋さんに会えます。」
千聖「結論から言うけど、合同ライブは延期したほうがいいと思う。」
日菜「何で!」
麻弥「どうしてですか?
せっかくShining Jewelsの皆さんと共演できるのに。」
千聖「今の段階でShining Jewelsと渡り合えるのは麻弥ちゃんと日菜ちゃんしかいないわ。
私や彩ちゃんにイヴちゃんはもっとレベルを上げないと圧倒されるだけよ。」
彩「そうだよね……。」
千聖「でも、必ず合同ライブができるように頑張りましょう!
希良ちゃん・光ちゃん・寿音ちゃん・アレックス・洋さんと同じステージに立てるように……。」
日菜「そうだね。
るんっ♪てくるライブにしよう!」
イヴ「はい!」
彩「そのためにも、もっと練習しよう!」
千聖「ええ。」

取材終了後
夜9時過ぎ
希良「思ったより時間かかったね。
さ、早く焼き肉屋に行こう!」
寿音「張り切り過ぎだぞ!
よく行く店なのか?」
希良「家族でよく行っている店なんだ。
すごくおいしい肉が食べられるんだ。」
洋「楽しみね。
希良ちゃん一押しだから間違いないわ。」
光「私が参加してもいいの?
結構高いところだったら悪いよ。」
アレックス「またネガティブになってるよ。
光は今日大活躍していたんだから、参加しなかったら意味ないよ。」
寿音「そうだぞ、お前の演奏は本当にすごかったぜ!
だから、今日はたくさん食べて次回のライブに備えるぞ!」
洋「そうそう、光ちゃん行こう♡」
光「みんな……、ありがとう。」
希良「と言うわけでレッツゴー!」

焼き肉店前
希良「えーっ、今日臨時休業なの!?
残念……。
せっかく楽しみにしていたのにー!」
アレックス「どうする?
今日はこのまま解散にして、また後日行く?」
希良「残念……。」
光「せっかくだからファミレス行かない?
小さくても打ち上げしたい。」
寿音「そうだな。
行くか!」
洋「今日は私が奢るわ!
デビューライブ大成功祝いよ。」
希良「じゃ、焼き肉はZepp Hanedaでのライブの後に行こう!
家族カードはお父さんに返さないといけないから、割り勘になるけど。」
光「それまでバイトをしようと思っているから、気兼ねなく食べられるだけの金額は確保するね。」
寿音「お前は何にも心配する事ないぞ!
あたし達で何とでもなるから。」
光「でも、私も参加するからにはちゃんと支払いたいよ。」
洋「それなら、私の仕事の手伝いをしてくれない?
そのバイト代を使えばいいわ。」
光「いいんですか?
ありがとうございます!」
アレックス「私はライブのない日に週二回、一日3時間スカーレットでバイトする事になったんだ。
勤務時間が終わったら好きなだけ練習していいってオーナーが言ってくれたから、お言葉に甘えるつもり。」
寿音「あたしはレコーディングのアシスタントとギターやベースのリペアをする。
Zeppライブの打ち上げ分は余裕で稼げるはず。」
希良「私もお父さんの手伝いしなきゃ。
小遣いもらってる分は働かないとね。」
洋「それじゃ、ファミレスに行きましょう。」
寿音「ああ。」

ファミレスへと向かう5人