顔合わせ当日
CiRCLE入口前
D(待ちきれなくて早く来すぎたかな。
みんな早く来てー!)
CiRCLEから出てきた女子高生A「ねぇ、あれあのD?
何でここにいるのかな?」
女子高生B「知らないけど、ここで練習するのかな?」
7分後
A(時間に余裕を持って出発しておいてよかった……。
あれ、あそこにいるのって人気歌手でベーシストのDだよね。
誰かを待っているかのしれないから反対側で待ってよう。)
2分後
B「(ふー、間に合った。
?
何でDがいるんだ?
もうメンバーになる人は来てるのか?
もしかして、バンダナを巻いてサングラスをかけているあの子か。)
ねえ、君バンドメンバーに選ばれた子?」
A「はい、そうですが……。」
B「あたしもだよ。よろしく。」
A「よろしく……。」
D「待って!
二人とも高島さんのバンドメンバーになるの?」
A「はい、そうです。」
D「私も今日からメンバーだよ。」
B「えっ、ちょっと!
あんたもメンバーになるのか?」
D「そうよ、よろしくね。」
A・B「よろしくお願いします!」
B「それにしても、どうしてメンバー募集に応募したんですか?
プロ同士でいくらでもバンド組めそうなんだけど。」
D「私の知らない人達と組んでみたかったからかな。
きっと実力のある人達に出会えるような気がして。
RoseliaやRASは、プロの世界でも名前は知れ渡っているわ。」
希良「あ、いたいた。
お待たせー。
私がバンドメンバーを募集した高島です。
後、この子もメンバーになるから。」
B「何で一緒にいるんだ?」
C「偶然来る途中で会ったの。
SNSのアイコンで顔は知っていたし。」
希良「とにかく全員揃ったから中に入ろう!」
CiRCLEの受付の前
希良「すみませーん、Aスタを予約した高島です。」
まりな「いらっしゃい、待ってたわ。
へー、メンバー揃ったんだね。
(Dの顔を見て)えっ!
Dさんがメンバーになるの?」
D「はい、応募して合格しました。」
まりな「(そりゃそうでしょう。
知らない人はいない人気歌手でベーシストなんだから。)
あの、サインお願いしてもいいですか?
ロビーの壁に飾りたいんですが(色紙とペンを差し出す)。」
D「はい、いいですよ。」
サインをしてまりなに渡すD
まりな「ありがとうございます。
(希良の方を見て)それじゃ、ごゆっくり。」
Aスタジオに向かって歩く5人
Aスタジオ
希良「では、自己紹介から始めよう。
その時に、初めて演奏できるようになった楽器を必ず言って下さい。
音合わせのパート決めの時に必要だから。
私は高島希良。
月ノ森女子学園高等部の2年生。
小さい頃からスタジオミュージシャンである父といつも一緒にいて様々な楽器に触れてきました。
初めて演奏できるようになった楽器はベースです。
よろしくお願いします!」
A「常盤光(ときわひかる)、都立芸術学院高校音楽科2年生です。
RASのレイヤと同じクラスです。
ミュージシャンになりたくて入学しました。
授業が終わったら閉門ギリギリまで音楽室で練習しています。
最初に演奏できるようになった楽器はギターです。
人前で演奏した経験はないけど、精一杯頑張ります。」
B「あたしは今田寿音(いまだことね)。
花咲川女子学園高等部2年生。
山吹沙綾や牛込りみ、弦巻こころと同じクラス。
親父にお願いして中学の頃から一流の音楽の講師による英才教育を受けてきた。
それ以外にも一流ミュージシャンのレコーディングや編集のアシスタントのバイトを月に5回ほどしているよ。
初めて演奏できるようになった楽器はドラム。
そういうわけで、みんなよろしく!」
C「アレックス大島です。
せロシアインターナショナルスクールの11年生。
チュチュと同じクラスよ。
父は日本人、母はイタリア人のハーフ。
本名はアレッサンドラなんだけど、長いからアレックスって名乗っている。
母がオペラ歌手だから、いつも音楽と一緒だった。
それと中学の時に友人達とバンドを組んでいて、ボーカルを担当していたよ。
16歳の時から日本に来て一人暮らしをしているんだ。
初めて演奏できるようになった楽器はキーボード。
この日を楽しみにしていた。」
希良「日本語上手だね。」
アレックス「父からみっちり仕込まれたよ。
正しい日本語を身につけてほしいと思っていたみたいで、外国語まじりになったらカミナリが頭上に落ちたよ。
話せるのは日本語・イタリア語・英語だよ。」
希良「トライリンガルだね。」
光「すごい……。」
D「最後は私ね。
浅野洋(あさのひろ)です。
2年前にメジャーデビューした歌手でベーシストです。」
希良・光・寿音「知ってます!」
アレックス「へー、プロのミュージシャンなんだ。」
洋「ソロ活動に加えて、著名なミュージシャン達のライブでサポートメンバーとして出演したり、スタジオミュージシャンとしても活動しています。
初めて演奏できるようになった楽器はもちろんベース。
でも、マルチプレイヤーになりたくてレコーディングでお世話になったミュージシャンにお願いして師事したってわけ。」
寿音「誰に教わったんですか?」
洋「ドラムは高橋まことさんと坂東慧(ばんどうさとし)さん、ギターはまことさんの紹介で知り合ったマーティン・フリードマンさんにLUNA SEAのINORANさん、後は土屋昌巳さん。
キーボードは八代恒彦さん、木村信也さんに蓑輪単志さんから教わったわ。」
寿音「すご過ぎだろ!
あのまこっちゃんから教わったなんて。
あたしもレコーディングのバイトで会った事あるぞ。
羨まし過ぎる!」
洋「寿音ちゃんだっけ。
一度レコーディングスタジオで会った事あるよね。
アシスタントとして本当に優秀だから、将来はディレクターになるのかなって思ったよ。」
寿音「あたしの事覚えていてくれたんだ!
こっちはもちろん覚えていたけど、まさか浅野さんが覚えていてくれたなんて…。」
光(私、もしかしてとんでもなく凄い人達と組もうとしているのかな……。)
希良「自己紹介も済んだし、そろそろ課題曲のパート決めしようよ。
ヒカルンはギター。」
光「ヒカルン?」
希良「光ちゃんよりも呼びやすいからヒカルンね。
寿音ちゃんはドラム、アレックスはキーボードで決まりだけど、問題はベースなんだよね……。
浅野さん、じゃんけんしよ!」
寿音「ちょっと待て!
何でそうなる?
普通に考えたら第一線で活躍している浅野さんだろ!」
希良「やだやだやだ!
私だってベースやりたい!
じゃんけんで決めようよ。」
寿音「だめだ。
という事で、希良はギターボーカルな。」
希良「え~……。」
アレックス「ほら、希良準備しよう(笑)。」
20分後
希良「全員準備できたから、早速演奏しよう。
寿音ちゃん、テンポは任せるからお願い。」
寿音「OK!
1,2,3,4!」
演奏終了後
希良(凄い!
初めてなのに完璧に合っていた。
しかも、一人ひとりのレベルが最高だから私がレコーディングした音源よりもずっと完成度が高かった…。)」
光(……みんなの演奏に導かれるような感じがした。
バンドってこんなに楽しいんだ…。
それにしても、みんな凄い演奏のレベルが高いよ。
私、みんなの足引っ張ってないかな……。)
寿音(何だよこいつら……。
浅野さんはともかく、他の奴等の演奏レベルもまさかここまでだとは。
あたしがレコーディングで見てきたプロでさえここまでではなかった。)
アレックス(日本にここまでのプレーヤーがいたなんて……。
応募して本当によかった!
いつか一緒に海外でツアーをしたい。
私達が世界で十分通用するところを見てもらいたい。
練習とライブを重ねればもっと洗練されたものになるわ。)
洋(楽しい!
本当に楽しい。
今すぐにでもメジャーで通用するレベルよ。
RoseliaやRASにも絶対に勝てるわ。)
希良「みんなの演奏完璧だよ!
息もピッタリ合っていたしさ。
これなら、真の最強バンドと呼ぶに相応しいバンドになるよ。
次に集まる時にはバンドのスタイルや方向性等について色々と話そう。
それから、みんなの応募した時の歌の音源を夜に送信するから各自自分のパートを練習して弾けるようにしてきて。
ちなみに、パートは曲ごとに変わるからよろしくね!」
寿音「は、何で?
さっき音合わせ時に決めたパートでいいんじゃないか?」
希良「だって、メンバー全員がマルチプレイヤーだよ。
その強みを活かさないと勿体ないよ!」
洋「面白そうね、私は賛成。」
光「いいと思う……。」
アレックス「いいね。
他のバンドには絶対に真似できない私達だけの強みだよ!
その分、練習がハードになるけど。」
希良「という事で、今日は解散!
何かアイデアがあったらDMして。」
帰り支度を始めている光を見てふと首をかしげる寿音。